法語を味わう(10)
かならずかならず
一つところへ
まゐりあふべく候ふ
昨年、小学校時の恩師の奥様が八十一年の人生を終えられました。
恩師はご兄弟が多く、それまでも大切な人との別れを何度も経験されています。
「今まで両親を送り、兄も姉も送り、人は必ず死んでいくことは知っています。妻は長い間病に伏せていましたし、別れがあると自分に言い聞かせました。しかし、この度は辛かった。人のいのちの重さに違いがあってはならないはずなのに、この度は本当に辛かった」と。
ときに人は、頭で理解していることと感じることが異なることがあります。どうしても受け入れ難い現実に涙することがあります。
その人の心情を察してくださった親鸞聖人の温かいお言葉でありましょう。
お念仏申させていただく日暮らしの中で、私たちはお浄土(一つところ)へ参らせていただき、先立っていかれた方々にかならず出あうことができる、そのことをよろこびながら、共に心豊かな人生を歩ませていただきましょう。
本願寺派布教使 末澤 真吾