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法語を味わう(25)

人生(じんせい)には三(みっ)つの坂(さか)がある
 一(ひと)つは上(のぼ)り坂(ざか) 
 一(ひと)つは下(くだ)り坂(ざか)
そしてもう一(ひと)つ・・・真逆(まさか)

 この度(たび)の台風(たいふう)十九号(じゅうきゅうごう)で被災(ひさい)された方(かた)には心(こころ)からお見舞(みま)い申(もう)し上(あ)げます。
 私(わたし)の寺(てら)は長野県(ながのけん)の千曲川(ちくまがわ)の決壊現場(けっかいげんば)の近所(きんじょ)にあり、災害当日(さいがいとうじつ)は避難先(ひなんさき)で不安(ふあん)な夜(よる)を過(す)ごしました。寺(てら)は無事(ぶじ)でしたが、決壊現場(けっかいげんば)の対岸(たいがん)に一人暮(ひとりぐ)らしのお婆(ばあ)さんがいたので心配(しんぱい)になって電話(でんわ)をしました。すると、そのお婆(ばあ)さんは避難(ひなん)をせず、なんと電話(でんわ)に出(で)られたのです。
 「お婆(ばあ)ちゃん避難(ひなん)しなかったの?」と聞(き)くと、「怖(こわ)かったよ。玄関(げんかん)に水(みず)が入(はい)ってドアが開(あ)けられないのよ」と言(い)いました。道路(どうろ)は封鎖(ふうさ)されすぐには行(い)けません。水(みず)が引(ひ)いてから駆(か)けつけると、お婆(ばあ)さんは涙(なみだ)を浮(う)かべて「まさか こんなことになるなんて。次(つぎ)は必(かなら)ず避難(ひなん)するよ。」と言(い)ったのです。
 善導大師(ぜんどうだいし)は『往生礼讃偈(おうじょうらいさんげ)』に「如灯風中滅難期(にょとうふうちゅうめつなんご)」とお示(しめ)しくださいました。その意味(いみ)は「命(いのち)の灯(ともしび)は、風(かぜ)にさらされればいつ消(き)えてしまうかわからない」という意味(いみ)です。この度(たび)の災害(さいがい)で、厳(きび)しい教訓(きょうくん)をいただいたことでした。

(本願寺派布教使 嶋倉 崇雄(しまくら たかお))

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