法語を味わう(30)
木の陰や
蝶と休むも
他生(たしょう)の縁(小林一茶)
この句の「他生」は生まれる前の世界「前生」を示します。一茶は木かげに休み、「一時一瞬の蝶との出あいも、前生にて縁のあったことよ」と感慨にふけっていたのです。
さて、親鸞聖人は「ああ、弘誓の強縁、多生にも値ひがたく、真実の浄信、億劫にも獲がたし たまたま行信を獲ば 遠く宿縁を慶べ」と何度も生死流転の迷いの生涯を繰り返してきたが、この度、阿弥陀さまのご本願に出あえ、真実の行と信を得たなら、遠く過去からの因縁をよろこべ」と語っておられます。私たちは今であっている家族、友人、知人にどれほどの不思議さとご縁を感じているでしょうか。そして手を合わす身にお育て下さった仏さまのご縁もどれほど深く味わっていることでしょうか。
今一度、ご一緒に考えてみましょう。
(本願寺派布教使 清胤 弘英(きよたね こうえい)