法語を味わう(41)
2021年6月
人、死を憎まば 生を愛すべし
存命の喜び
日々に 楽しまざらんや(「徒然草」兼好法師)
もしあなたが本当に死ぬのがいやならばもっと今ある命を愛するべきである。そして生きている喜びを日々大切に楽しまなくてはいけない。愚かな人間は、この楽しみを知らずに、物欲に振り回されてあくせくしているのである。鎌倉時代を生きた兼好法師は「徒然草」の中でこのように述べています。命という宝を忘れて、快楽や金銭という目先の宝ばかり追い求めていては、いつまでたっても心が満たされることはありません。結局、誰もが生きる喜びを楽しもうとしないのは、死を恐れないというよりも、いつも死と隣合わせに生きているという自覚がないからなのではないでしょうか。あなたは、生きることを楽しんでいますか?
(本願寺派布教使 西郷 教信)