法語を味わう(46)
2021年11月
私を見ていてくださる人があり
私を照らしてくださる人があるので
私はくじけずに こんにちをあるく(榎本 栄一)
詩人であり念仏者でもありました榎本栄一さんの「あるく」という詩です。
人生は嬉しいこと、楽しいことばかりではありません。悲しいこと、苦しいことなど、様々な出来事が次から次へと起こり、思い通りになることは多くはありません。
煩悩にまなこさへられて 摂取の光明みざれども
大悲ものうきことなくて つねにわが身をてらすなり
煩悩具足の凡夫である私たち、苦しいこと・悲しいことがあると、その原因も考えず、ついつい何かのせいにしてしまいがちな私たち。そうした姿を、休むことなく見まもり続け、つねに寄り添い続け、限りのないお慈悲をふりむけていてくださるのが阿弥陀さまであります。
コロナ禍の中、辛く、悲しく、苦しい思いをされた方が数多くいらっしゃると思います。しかし、そうした悲しみや苦しみが「尊いこと」「有り難いこと」といただくことができるのが「お念仏のはたらき」であります。
私たちは阿弥陀さまの「われにまかせよ、かならず救う」というけっして変わることのないご本願の中に生かされていることに気づかせていただいたとき、この人生を力強く歩んでいくことが出来るのです。